【症例報告】40代女性・テニス肘(外側上顆炎)からの競技復帰への軌跡
テニスを愛好される方にとって、肘の痛みは非常に切実な悩みです。今回は、整形外科で「テニス肘(外側上顆炎)」と診断され、握力が著しく低下した状態から、無事に試合復帰を果たされた40代女性の症例を詳しくご紹介します。
同じような症状でお悩みの方、あるいは再発を繰り返している方の参考になれば幸いです。
目次
3. 第1フェーズ:炎症抑制と徹底した安静(1回目〜3回目/1週間)
4. 第2フェーズ:組織の柔軟性改善と負荷の開始(4回目〜10回目/2週間)
1. 患者様プロフィールと初診時の状態
- 年齢・性別:40代 女性
- 趣味:テニス(週に数回プレイ)
- 主訴:右前腕から肘にかけての激しい痛み
- 診断名:テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
2. 初診時のコンディション
患者様が当院を訪れた際、右肘の外側(外側上顆付近)には目に見えるほどの腫脹(はれ)と、指で軽く触れるだけでも顔をしかめるような鋭い圧痛がありました。最も深刻だったのは握力の低下」です。
- 健側(左):25kg
- 患側(右):10kg
3. 第1フェーズ:炎症抑制と徹底した安静(1回目〜3回目/1週間)
通院頻度:毎日〜隔日この時期の最優先事項は、高ぶっている炎症を鎮めることです。
- アイシングの徹底: 熱感を取り除くため、院内での冷却に加え、自宅でも運動制限(テニスの中止)とこまめなアイシングを指導しました。
- アキュスコープ(微弱電流治療器)の導入: アキュスコープは、体内の微細な電流の乱れを読み取り、組織の修復を促進する特殊な治療器です。細胞レベルで炎症を抑えるため、急性期の痛みには非常に高い効果を発揮します。
- 運動制限の指導: 「少しなら大丈夫だろう」という油断が慢性化を招きます。ラケットを握る動作を一切禁止し、まずは組織の「火事」を消し止めることに専念していただきました。
4. 第2フェーズ:組織の柔軟性改善と負荷の開始(4回目〜10回目/2週間)
通院頻度:週2回1週間の徹底した安静と治療により、腫れと強い圧痛が軽減してきました。ここからは「守り」から「攻め」の治療に転換します。
- コンビネーション治療(超音波×ハイボルト): 深部まで振動を届ける「超音波」と、痛みの伝達をブロックし血流を改善する「ハイボルト(高電圧電気刺激)」を同時に行います。硬くなった筋肉の癒着を剥がし、柔軟性を取り戻していきます。
- ストレッチ指導: 手首を手のひら側に倒す前腕伸筋群のストレッチを開始。痛みが出ない範囲で、セルフケアの習慣化を図りました。
- 軽負荷の運動療法: 炎症が再燃しないよう注意しながら、指先や手首の軽いエクササイズを開始し、握力の回復を促します。
5. 第3フェーズ:機能回復と競技復帰へのステップ(11回目〜16回目)
通院頻度:週1回握力が徐々に戻り、日常生活での支障がほぼなくなった段階で、実践的なリハビリへと移行しました。
- 負荷トレーニング: チューブや軽いダンベルを用い、テニス特有の動きに耐えられる筋持久力を強化します。
- 動作指導とフォームチェック: テニス肘の多くは「手首だけで打つ」フォームや、インパクト時の衝撃が原因です。肩甲骨や体幹を連動させた打ち方を確認し、肘への負担を分散させる体の使い方を再学習しました。
- 素振りから実戦へ: まずはラケットを持った素振りから開始。次にショートラリー、そしてフルスイングへと段階的に負荷を上げ、最終的には試合形式の練習まで復帰しました。
6. 経過と現在の状況
11回目から12回目頃までは週2回のペースで通院いただきましたが、状態の安定に伴い週1回のメンテナンスに移行。16回目をもって、当初の目標であった「競技への完全復帰」を達成されました。現在、患者様は痛みなくテニスを楽しまれており、地域の試合にも積極的に出場されています。
患者様の声(要約)
「最初は握力が半分以下になり、もうテニスはできないかもと弱気になっていました。でも、段階を踏んで治療とリハビリを説明してもらえたので、焦らずに取り組めました。今は試合で力一杯ラケットを振れることが本当に嬉しいです!」
7. まとめ:テニス肘を克服するために
今回の症例で早期復帰を可能にしたポイントは3つあります。- 初動の早さ:炎症が強い時期に適切なアイシングと物理療法を行ったこと。
- 握力低下への着目:単なる痛み止めではなく、筋出力の左右差を指標に段階的な負荷をかけたこと。
- 再発予防の徹底:痛みが消えた後の「動作指導」と「ストレッチ」を継続したこと。
もし、肘の痛みで大好きなスポーツを諦めかけている方がいれば、ぜひ一度ご相談ください。
【本症例の通院目安】
- 初期(1週目):毎日〜1週間集中
- 中期(2〜5週目):週2回
- 後期(6週目〜):週1回のメンテナンス



