冷え性対策~東洋医学から~

皆様こんにちは。
11月も後半になり、いよいよ冬到来ですね。
今年の冬は平年並みの気温ということで、しっかり寒そうですので寒さ対策、冷え性対策をして乗り切りましょう。
今回は、東洋医学からみた冷え症対策をご紹介しようと思います。

1. 東洋医学的な冷え性の考え方

東洋医学では、冷え性は単なる「体が冷たい」という状態だけでなく、「気・血・水」の巡りの停滞や、臓腑のバランスの乱れとして捉えられています。特に女性に多い症状ですが、男女問わず、体質・生活習慣・ストレスなどによって起こり得ます。自宅でケアを行う際には、身体を温めることに加え、全身の巡りを改善し、根本的な体質を整えることを目的にすると効果的です。
 

2. 食事による養生

1.温性の食材を積極的にとる
 
ショウガ、ネギ、シナモン、黒砂糖、よもぎ、ニラ、にんにく、山椒、唐辛子などは体を内側から温め、気血の巡りをよくするとされています。特にショウガは、すりおろし・加熱・乾燥のいずれでも使いやすく、自宅での冷え性ケアの代表食材です。
 
☆腎を補う食材
 
東洋医学では、冷えと腎虚(じんきょ)は密接に関係します。腎を補う食材として、黒豆、黒ごま、くるみ、山芋、羊肉、海藻類などが知られています。これらを日々の食事に取り入れることで、体の根本的な温める力を強めることができます。
 
☆冷たい飲食物を避ける
 
冷え性の人は、アイス・冷たい飲み物・生野菜の過剰摂取など、体を冷やす要因をできるだけ減らします。飲み物はできれば常温以上にし、冬場は白湯を基本としましょう。
 

3. 自宅でできる温熱ケア

☆足湯
 
冷え性改善の基本的なセルフケアとして、「足湯」は強力です。
40〜42℃のやや熱めのお湯に、足首まで浸かる深さで10〜15分程度。入浴剤として塩やショウガの薄切り、よもぎパックなどを使用するとさらに温め効果が増します。
 
☆温灸・カイロの活用
 
自宅で行える温灸(せんねん灸)は、特に冷えが強い体質に適しています。
温めるべきツボとしては
 
三陰交(さんいんこう)… 足の冷えに
太渓(たいけい)… 腎を補い全身の冷えに
関元(かんげん)… 下腹部の冷え
足三里(あしさんり) … 全身の気血を整える
が代表的です。




カイロの場合は、おへその下(丹田)、腰、仙骨(お尻の割れ目の少し上)など、体の中心部を温めると、手先・足先まで温かさが広がりやすくなります。

4. 適度な運動と気血の巡り改善

☆軽いストレッチ・気功・ヨガ
 
東洋医学では、筋肉の緊張やストレスによる「気の滞り」が冷えを悪化させるとされます。
朝のラジオ体操、太極拳風のゆったりした動作、骨盤周りをほぐすストレッチなど、強度の高すぎない運動が適しています。
 
☆ウォーキング
 
短時間でもよいので、毎日20分程度の歩行は下半身の巡りを大きく改善します。ふくらはぎが「第二の心臓」といわれるように、末端の冷えの改善に特に有効です。
 

5. 睡眠と生活習慣の工夫

☆早寝で腎を養う
 
腎は生命エネルギーの源であり、冷え性と深く関係します。深夜の就寝、寝不足は腎を弱らせるため、できれば23時までの就寝を心がけましょう。
 
☆湯船に浸かる
 
シャワーだけではなく、毎日の入浴で体を芯から温めることが重要です。みぞおちまでしっかり浸かる半身浴は、心臓への負担も少なく続けやすい方法です。
 
☆下半身を冷やさない
 
腹巻き、レッグウォーマー、湯たんぽなどの活用も東洋医学的には理にかなっています。特に「腰(命門)」は体の熱源なので、ここを冷やさないことが大切です。
 

6. 心のケアとストレス管理

東洋医学では、精神状態と身体の冷えは密接につながっています。ストレスや不安は、気の流れを停滞させ「気滞(きたい)」という状態を作り、血行不良を招きます。
 
深呼吸、瞑想、アロマ、ゆったりした音楽などで、副交感神経を優位にする習慣を持つことが、巡りを改善する上で効果的です。

7. 体質別の冷えへのアプローチ

☆血虚タイプ
 
顔色が悪い、動悸、不眠、髪のパサつきなど。
→ 黒ごま、ほうれん草、レバー、ナツメなど血を補う食材が有効。
 
☆気虚タイプ
 
疲れやすい、胃腸が弱い、息切れなど。
→ 山芋、かぼちゃ、鶏肉、米など、胃腸を補うものを中心に。
 
☆陽虚タイプ
 
手足が氷のように冷たい、むくみやすい、下痢気味。
→ 温める力が不足しているため、ショウガ、羊肉、シナモンなど温補の食材が最適。

8. まとめ

冷え性は単なる症状ではなく、体質や生活の積み重ねから生じる「巡りの問題」です。東洋医学では、温めるだけでなく、体全体の気血の調和、内臓の働き、心身の安定など総合的な視点で改善していきます。
 
自宅でのケアは、日々コツコツ続けることで確かな変化があらわれます。食事・温熱・運動・睡眠・メンタルケアの五本柱を意識し、無理なく生活に取り入れていくことが大切です